国交省/工事請負契約約款改正案、中建審に提示/19年内に実施勧告、周知期間3カ月
国土交通省は、中央建設業審議会(中建審、柳正憲会長)の総会を13日に東京都内で開き、2020年4月施行の改正民法に対応する「建設工事標準請負契約約款」の改正案を提示した。民法の改正内容に沿いながら、建設工事特有の請負契約に適した約款に見直す。中建審が年内をめどに公共発注機関や建設業団体などに実施を勧告する。国交省は改正民法の施行までの約3カ月間を新約款の周知に充てる。
改正する約款は▽公共工事標準請負契約約款▽民間建設工事標準請負契約約款(甲)▽民間建設工事標準請負契約約款(乙)▽建設工事標準下請契約約款-の4種類。
改正民法では特約条項があっても債権が譲渡できるようになる。公共約款には、現行同様の譲渡制限特約と、違反した場合の特定解除権を規定する。発注者の承諾を義務付ける規定も設ける。民間約款(甲・乙)と下請約款には、現行同様の譲渡制限特約を規定する案(A)と、工事を実施するための資金調達を目的とした譲渡を認める案(B)とを選択して使用する。
4約款の譲渡制限特約に違反した場合の解除権について「無催告解除」の要件として規定する。使途に関する資料の提出を求めて報告を拒否または虚偽の報告をした場合は「催告解除」として特約解除権を規定する。
「瑕疵(かし)」の用語が削除され、「契約不適合」という概念を用いるようになる。請負契約で不適合がある場合、売買契約の担保責任規定が準用される。建物などの例外的扱いが廃止されるが、4約款すべてに契約不適合の担保期間を引き続き設ける。
現行約款は建設工事の種類によって、担保期間が引き渡しから1年または2年となっているが、期間の区別をせずに一律で2年を原則にする。設備機器や室内装飾などの担保期間は、公共約款、民間約款とも1年に統合する。
期間内に発注者が2年以内に行う「請求」と「通知」を分けて規定する。通知した場合には1年以内に請求を行う必要があるとする。故意または重過失の場合の担保期間については2年の特則を適用せず、民法の原則(客観的消滅時効の10年または主観的消滅時効の5年の短い方)を適用する。
民法の改正内容のほか、建設業法の改正に伴い条文を修正する。例えば、改正内容の「著しく短い工期による請負契約の締結の禁止」「監理技術者の兼務規定」などを、各約款の対象に応じた記述で規定する。