国交省/交通誘導員確保へ関係者会議設置を/都道府県に呼び掛け、設置済みは6団体
国土交通省は交通誘導員の全国的な不足を踏まえ、都道府県単位で関係者会議を設置するよう働き掛ける。都道府県に対し、2017年6月に総務省と連名で設置を要請したが、19年10月時点で設置したのは6団体にとどまる。担当者レベルで情報共有している団体は増えたものの、会議設置を検討中の団体は減少。国交省は「円滑な施工確保に向け関係者が集まる場を設けてほしい」(土地・建設産業局)としている。
熊本地震の復旧工事では交通誘導員を十分に確保するのが難しく、工事着手が遅れるというケースが生じた。一部地域で交通誘導員が逼迫(ひっぱく)し公共工事の円滑な施工に支障を来している実態を踏まえ、国交、総務両省は都道府県に対し、交通誘導員の労務費の適切な積算や施工時期の平準化などの取り組みを要請。都道府県単位で関係者会議の設置を求めた。
会議には都道府県の土木部局や建設業協会など建設関係者だけでなく、警察本部や警備業協会なども参画。今後の発注見通しを踏まえ、交通誘導員の需給状況を地域ごとにきめ細かく把握していく。元請企業の社員による自家警備の条件整理や、受発注者が配置計画を検討する際の留意点の情報共有といった対策を検討し、適切に共通仕様書などに反映してもらう。
国交、総務両省は17年6月、同9月に要請文書を発出した。国交省の調査によると、19年10月時点で会議を設置していたのは、▽北海道▽長野▽岐阜▽広島▽長崎▽熊本-の6道県。前回調査(5月時点)と同じだった。
関係者連携の体制づくりに取り組んでいるのは、設置済みの6団体のほか、担当者レベルで情報共有が8団体(前回7団体)、設置を検討中が7団体(12団体)の合わせて21団体(25団体)にとどまっているのが実情だ。一方、交通誘導員が「不足している」と回答したのは35団体に上り、不足傾向が続いている。
都道府県による交通誘導員確保に向けた対策についても調べたところ、「遠隔地から調達する場合は必要経費を設計変更で対応」「市場の労務単価と設計労務単価に乖離(かいり)がある場合は見積もりによる積算も可能」など積算や設計変更での対応が多かった。人材の効率的な活用を図るため、「ゼロ県債や繰越明許費などを活用し施工時期の平準化を推進」といった回答も寄せられた。