国交省/工事請負契約約款改正案/中建審WGに提示、改正民法踏まえ
国土交通省は2020年4月施行の改正民法に対応する「建設工事標準請負契約約款」の改正案をまとめた。24日に省内で中央建設業審議会(中建審)に設置した約款改正ワーキンググループ(WG)の第4回会合を開催。譲渡制限特約や契約不適合責任といった民法の改正内容のほか、建設業法の改正に伴う条文案も盛り込んだ。11月に開く次回会合を経て、12月開催予定の中建審に報告する。
会合で提示された改正案は▽公共工事標準請負契約約款▽民間工事標準請負契約約款(甲)▽民間工事標準請負契約約款(乙)▽建設工事標準下請契約約款-の4種類。
改正民法では特約条項があっても債権が譲渡できるようになる。これまでの議論を踏まえ、公共約款には原則、現行同様の譲渡制限特約と違反した場合の特定解除権を規定する。訴訟リスクを避けたい発注者もいることを想定し、一定の場合に発注者の承諾を義務付ける規定も設ける。原則と承諾義務付けとの選択制にする。
民間約款(甲・乙)と下請約款には、債権譲渡により得た資金を当該工事に適切に支出する規定の条項を新設し、違反した場合を解除事由として規定する。
「瑕疵(かし)」の用語が削除され、「契約不適合」という概念を用いるようになる。請負契約で不適合がある場合、売買契約の担保責任規定が準用される。担保責任期間に関する建物などの例外的扱いが廃止されるが、4約款すべてに契約不適合の担保期間を引き続き設ける。
現行約款は建設工事の種類によって、担保期間が引き渡しから1年または2年となっているが、期間の区別をせずに一律で2年を原則にする。設備機器や室内装飾などの担保期間は、公共約款、民間約款とも1年に統合する。期間内に発注者が行う「請求」の在り方については継続審議となった。
建設業法の改正に伴い条文を修正する。例えば、改正内容の「著しく短い工期による請負契約の締結の禁止」「監理技術者の兼務規定」などを、各約款の対象に応じた記述で規定する。