東京都/五輪期間中の工事調整で発注方法や経費対応策明示/基本的な考え方示す
東京都は2020年東京五輪・パラリンピック開催期間中の都発注工事で、発注時期の前倒し・後ろ倒しや工事の一時休止、夜間への振り替えといった調整手法を実行に移す場合の条件を「基本的な考え方」としてまとめた。これに沿って関係各局が来年度の発注方法など詳細な検討に入る。交通混雑緩和に向けた新たな取り組みとして、競技会場周辺で路上工事を抑制するエリアを明確に定め、臨海地域の建設発生土受け入れ施設の稼働を昼間に休止する方針も打ち出した。
4月に公表した都発注工事の調整の取り組み方針を最新版に更新した。今夏の試行結果を踏まえ、対象となる期間やエリアは変更した。主に都心部で日中の路上工事を避ける期間は五輪前後の20年7月20日~8月10日とパラリンピック開催期間の同8月25日~9月6日の計35日間に見直した。都内全域を対象に工事車両数の削減に取り組む期間は、都心の路上工事抑制期間から土日を除いた計25日間(当初19日間)に増やした。
対象エリアは▽大会関係地域1(会場周辺や輸送ルート上)▽同2(重点取り組み16地区)▽会場などがある区部(環状7号内側)▽同(環状7号外側)▽会場などが無い区部▽多摩地域(圏央道内)▽同(圏央道外)-にさらに細分化し、調整手法に濃淡を付ける。
基本的な考え方では発注段階の調整手法で具体策を挙げた。工事準備や工場製作が大会期間に重なるよう発注したり、大会関係地域とその他のエリアを組み合わせた発注で施工計画を立てやすくする。工事調整に伴う経費増大にも対応する。▽一時休止に伴う保安措置など現場管理費▽工事の夜間振り替えに伴う労務費の変更▽発生土処分先の変更に伴う運搬費・処分費の変更-などを想定している。
競技会場周辺では都発注工事に限らず、すべての公共・民間工事で工事規制も敷かれる。都は初めて、車両は通行できても路上工事や道路占用工事は控えてもらう路線・エリアを明示した。大会期間中は全会場共通で昼間の工事を規制する。一方で競技日程や時間帯に応じ、夜間の施工可能時間を細かく設定した。
規制内容は民間デベロッパーなどにも説明する。大会期間を外した工期設定や発注の依頼とともに「資料を持って協力を働き掛けていく」(都オリンピック・パラリンピック準備局)という。
海の森水上競技場(江東区)に近接する▽建設発生土再利用センター▽中防内側受入基地▽新海面処分場-の3施設で、大会期間中の昼間は建設発生土を受け入れないことも決めた。搬出入車両による交通混雑の回避が狙い。建設発生土再利用センターの受け入れ機能は、都内や近隣県にある建設資源広域利用センターの受け入れ地などの利用で代替可能としている。