19年上半期、建設業界の人手不足続く 下半期は一層の拡大も
■人手不足が拡大傾向に
28日、ヒューマンタッチ総研が2019年上半期における「建設業界人材動向レポート」を発表した。19年6月の建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は6.33倍で、前年同月の5.61倍から0.72ポイント上昇(人手不足が拡大)した。19年1〜6月の推移をみると、1月の6.82倍をピークに4月には5.91倍まで下がっているものの、5月に5.92倍と微増し、6月には6.33倍と2カ月連続で上昇した。
■有効求人倍率の前年差が広がる
18年の推移をみると、1月の6.50倍をピークに下がっているのは同じ傾向ながらも、5月の5.35倍を底として6月に5.61倍と上昇した部分がやや異なっている。さらに18年と19年の有効求人倍率の差は、1月時点では0.32だったが、2月は0.36(18年:6.42倍、19年6.78倍、以下同じ)、3月は0.40(6.11倍、6.51倍)、4月は0.44(5.47倍、5.91倍)、5月は0.57、そして6月は0.72と広がっている。
■求人数は増加するも求職者数が前年割れ
6月時点の建築・土木・測量技術者の有効求人数は5万8,810人で、18年6月の5万7,739人から1.9%増。その一方、6月時点の求職者数は9,285人で、18年6月の1万299人から9.8%減となっている。
19年の推移をみると、求人数は6カ月続けて前年を上回っているのに対して、求職者数は6カ月ともに前年を割り込んでいる。引き続きオリンピック需要などもあることから、「2019年上半期においては企業の建設技術者への需要は高止まりした状況であり、建設技術者の人手不足は下半期に向けてさらに厳しくなるのではないか」と推測している。
■ハローワークの有効求人倍率が50カ月連続で前年上回る
6月の公共職業安定所(ハローワーク)でのパートを除いた建設・採掘の職業の有効求人倍率は5.43倍。18年7月に5.09倍となって以降、11カ月連続で5倍を超えている。また、18年6月の4.85倍から0.58ポイント上昇し、前年同月は50カ月連続で上回っている。
■新規求人倍率も上昇、今後も人手不足が続く
6月のハローワークでのパートを除いた建設・採掘の新規求人倍率は7.73倍。18年6月の6.82倍から0.91ポイント上昇した。新規求人倍率は有効求人倍率の先行指標とみられており、「東京オリンピック・パラリンピック関連の工事が最後の追込みに入ることから、今後も厳しい人手不足の状況が続く可能性」があるとしている。